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左打者が放つ左中間へのライナーとアーチ式コンクリートダムは、力強さと美しさを兼ね備えているという点で似ている。 Baseball is my real life!
野球暦22年目の新発見
いやー、20年以上野球をやっていても知らないことはたくさんあります。

特にルール関係関しては本当に奥が深い。公式審判員は本当に凄いと思いますよ。
以前も書きましたが、野球の試合で適用されるルールなんていうのは9割方決まっています。いわゆる「誰もが知っているようなルール」です。
問題は残り1割の「マニアックなルール」。これがまた知らない内容ばかりで困ったもんです。


とりあえず2つほどご紹介しましょう。
あぁ、最初に言っておきますが、少し長文です。複雑なルールや長い乱文は読みたくないという方はスルーを推奨します。

まず、以下の動画をご覧ください。



たまたまYouTubeで見つけた動画。どうやら10数年前に各高校に配布された高野連監修の「高校生のための投手規則解説」というビデオらしいんです。

で、これボークじゃないんですよ。驚きです。恥ずかしながら、初めて知りました。ワインドアップポジションから牽制ができるなんて…

公認野球規則を持っている方は【八・〇一】(a)を見てみてください。
たぶんイマイチ理解できないと思うんですが、確かにこの牽制は認められています。
ただ、この項に記載されている「打者への投球に関連する動作」というのがどうも曖昧なんですよねー。

ちなみに今日、草野球で元東海大浦安のエースにこの話をしたところ、「いやいやいやいや、それはボークでしょー!」という反応。やっぱり普通そう思うよなー。
この件に関しては俺もあまり自信がない(というか実際に講習とかで聞いてみたい)ので、この辺にしておきましょう。


はい、次。


草野球での一コマ。
ランナーなしの状況で、打球はサードゴロ。これをサードが大暴投、ボールはファーストの遥か頭上へ。そのままボールデッドライン(大抵はベンチの延長線上とか)を超えました。

この時、審判はどのような判断をするでしょう?
もはやお決まりのフレーズ、「テイクワンベース!」。これでしょう。


何とこれ、間違いでした。


正解は「テイクツーベース」なんです。以下、回答の論拠。

【七・〇五】次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされるおそれなく進塁することができる。
(g)二個の塁が与えられる場合――送球が、
 (1)(中略)スタンドまたはベンチに入った場合。
 (2)競技場のフェンスを越えるか、くぐるか、抜けた場合。
 (3)(4)省略
 
(h)一個の塁が与えられる場合――打者に対する投手の投球、または投手板上から走者をアウトにしようと試みた送球が、スタンドまたはベンチに入った場合、競技場のフェンスまたはバックストップを超えるか、抜けた場合。


ここで言う「競技場のフェンス」ですが、河川敷などでは「ボールデッドライン」に置き換えていいでしょう。

そして重要なのは、進塁が許される際の基準となる位置(塁)。
基本的には「投手の投球当時」の各走者(打者も含む)の位置が基準になります。


(g)の場合を考えてみましょう。

ランナーなしの状況で内野ゴロを悪送球、ボールデッドゾーンを超えた場合。これは「テイクワンベース」ではなく、「本塁からテイクツーベース」となるのです。これはエンタイトルツーベースも同じ考え方となります。
ですから、ランナー1塁の場合は「テイクツーベース」で2,3塁となるわけです。

ただ注釈がありまして(【七・〇五(g)(h)付記】、「投手の投球当時の位置」というのは「悪送球が打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づく」時のみです。
例えば、ランナー1塁で打球はサードゴロ。サードはセカンドへ送球したが間に合わず、セカンドはそのままファーストへ送球。これが暴投となり、ボールデッドラインを超えた場合。
この時の「打球処理直後の内野手の最初のプレイ」というのはサードの送球です。ですから、セカンドの悪送球は「打球処理直後の最初のプレイ」ではなく、この場合は「その悪送球が内野手の手を離れたときの各走者の位置を基準とする」ので、セカンドの送球時に既に2塁に到達していたランナーは「テイクツーベース」によって本塁への進塁が許されます。
打者走者はセカンドの送球時に1塁に到達していれば3塁までの進塁、1塁に到達していなければ2塁までの進塁が許されるのです。
逆に、サードがファーストに投げて暴投、そのまま…と言う場合は「打球処理直後の最初のプレイ」なので、「投球当時の位置」、つまりランナーは1塁、打者走者は本塁が基準となり、2,3塁となります。


さて、次は(h)です。

投手の打者への投球や投手板上からの走者への牽制の場合です。
これは単純に「投手の投球(送球)時」の各走者の位置が基準となり、「テイクワンベース」になります。

しかし、これがまた大きな落とし穴でして。もう一度(h)をよく読んでみてください。

「打者に対する投手の投球、または投手板上から走者をアウトにしようと試みた送球が」

ここがミソなんです。

えーと、牽制球には「プレートを踏んだ(触れた)まま投げる」「プレートを外して投げる」という2種類があるのはお分かりだと思います。左ピッチャー(もちろん右ピッチャーも)が1塁に牽制する時や2塁への逆モーション牽制などはプレートを外さずに牽制球を投げます。
「テイクワンベース」が牽制球に適用されるのは、この「プレートを外さずに投げた」時なのです。

よく右ピッチャーがプレートを素早く外して1塁に牽制球を投げますよね。一番オーソドックスなヤツね。
ここで重要なのは、「プレートを外した(触れていない)ピッチャーは野手と同じ扱い」ということなんです。プレートに触れていなければ何をやってもいいわけですから。

もうお分かりですね?
「プレートを外しての牽制球」で暴投をし、ボールデッドラインを超えた場合は「テイクツーベース」になるのです。1塁ランナーであれば3塁まで進塁が許されるのです。



こんな感じです。
プロ野球や学生野球の公式戦はフェンスで囲まれた球場で試合をすることが多いので、このケースは「マニアックなルール」の部類に入るでしょう。
むしろ草野球や学生野球の練習試合の方が適用される場面が多いと言えます。

まぁ、覚えておいて損はないと思いますが…うーん、覚えておく必要もないと言えばないですね。
いや、こういう野球規則を持ち出して論じるのは基本的には好まないんですけど、今回は上記の2点がある種ショッキングなことだったんで、思わず長々と書いてしまいました。


眠くなるような文章に付き合って頂き、ありがとうございました。
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2007/03/22(木) 06:17:39 | 野球が面白いかも