左打者が放つ左中間へのライナーとアーチ式コンクリートダムは、力強さと美しさを兼ね備えているという点で似ている。 Baseball is my real life!
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複雑な「中学生の野球」
「将来、プロ野球選手になりたい」と思ったことはあっても、「野球の指導者になりたい」と思ったことはない。
「高校で甲子園に出たい」と思ったことはあっても、「高校で野球を指導したい(教師)」と思ったことはない。

考えてみれば俺の野球人生はやる方だけで、教える方のことを考えたことがない。やる方の楽しさ・辛さは分かっていても、教える方のそれは分からない。


中学生の硬式野球日本一決定戦「G杯」、8月開催(読売)

「ジャイアンツカップ」を正式に中学の硬式日本一決定戦とするという記事を見て、ふと「野球を教える教師とは何なのか」ということが頭に浮かびました。


松坂を始めとして、現在のプロ野球には中学での硬式経験を持つ選手は多いと思います。高校野球の強豪校に於いては硬式上がりというのはもはや驚くことではなくなっています。昨夏の千葉県代表・千葉経大附は全部員(昨夏の時点で約120人)の半分程が硬式のクラブチーム出身。


部活動はいま〈3〉中学野球エリート(読売)

もはや「中学野球エリート」という言葉が存在する時代です。
記事は新潟の例ですが、他の都道府県でも地元中学の軟式野球部を避けて、硬式のクラブチームに進む割合は年々増えていると思われます。

硬式のクラブチームに進むということは、大きなメリットがあります。
何よりも大きいのは「早くから硬式でプレーできる」といいうこと。高校野球に於いて、軟式上がりと硬式上がりでは最初の時点で明確な差がつきます。同じスポーツでも、まるで別物のように感じることもあるくらいです。
10代半ばなのですぐに順応しますが、それでも3年間の「先行期間」は大きい。今千葉県の高校野球界で一番注目されている成田の唐川投手は軟式上がりですが、短期間で「関東No.1投手」と呼ばれるまでになったのは、今の時代では珍しい例の部類に入ると見ていいかと思います。

他にも設備の面や専門の指導者、競い合う雰囲気やその後の進学など、会費(月謝)や遠征費といった負担は大きいですが、メリットは明確です。

甲子園出場や地元の高校野球のレベルアップ(これはお偉いさんが勝手に言っていること)、延いてはプロ野球選手への道ということを考えれば、確かに現状で言えば硬式のクラブチームに進む方が賢明と言えると思います。


そんな中、気になったのは上記記事の以下の部分。

 競技力向上を追求することが、本来の部活の姿なのか――。スポーツ指導者などについて研究する新潟大教育人間科学部の森恭助教授(42)は「(部活は)強化や育成面で中途半端になるなら、楽しみ志向でやる方がよい。部を強くすることで指導者は評価されてきたが、今後は、スポーツを通じて生徒の自己管理能力を向上させるなど、別の視点で評価することも必要」と指摘する。強化・育成の受け皿となるクラブが地域に育ってきた今、競技志向の部活のあり方も方向転換を迫られているようだ。


どうやら現在の中学の部活は「本格的に、そして本気でスポーツをやる環境ではない」という状況になりつつあるようです。

これにはちょっとショックを受けましたね。
俺は中学の軟式野球部上がりですが、「野球をするために学校に行っていた」ようなものでした。高校のように「甲子園」という全国区の晴れ舞台がないので、高校ほど明確な目標が立てられない中でも、文字通り本気で取り組んでいました。
実は高校3年間の野球部生活よりも、中学3年間のそれの方が得たものが大きかったりもします。もちろん指導者に恵まれたというのもありますが。
それだけに、この中学軟式野球部の質の低下は非常に寂しい。


一方で、確実に言えるのは「指導者の質の低下」。
「早くから硬式チームで」という思いとは別に、「本気で取り組めるのはどちらか」という点で差が出てしまう。特に中学・高校野球では、指導者が強さや雰囲気などの「チームそのもの」を決定付ける要因を占める割合が非常に大きい。
ただ、その指導者が以下の記事の状況に置かれつつあるということは以前から叫ばれていたことではあります。

部活動はいま〈1〉 指導者の悩み(読売)
部活激変(3) 教師の負担 報いる動き(読売)
部活激変(10) 顧問の激務 訴え切実(読売)

野球部の監督は、監督である以前に一教師であり、一社会人です。
現役時代は何とも思っていませんでしたが、考えてみれば毎日「残業」して、土日の練習試合には「休日出勤」しているわけです。手当てがどの程度なのかは知りませんが、あったとしても大したものではないでしょう。
今、自分がこれをやれと言われたら絶対にイヤですね。盆と正月以外は毎日「仕事」。先生たちはこんな生活を送っているわけで、今思うと物凄く大変なことをされていたんだと痛感します。社会人になって初めて分かったことですね。


部活に於ける待遇や指導者の人材難など、中学の軟式野球部を取り巻く環境は危機的状態に迫っていると言っていいでしょう。それを機に、益々硬式のクラブチームへの人気が高まることも容易に想像できます。

俺はどちらが良いとか、双方のメリット・デメリットを説くつもりはありません。それぞれの道に進むことに間違いなどはないと思っています。


以前野球留学のエントリーでも書いたように、一番重要なのは本人の気持ちです。「地元の高校野球のレベルアップのため」「プロ野球選手輩出のため」などということは大人の都合であって、本人の意志がその方向に向いているのであれば「中学野球エリート」を選ぶべきです。

ただ、自分が通ってきた道を考えると、中学校の部活動の質と評価が下がり、高校野球(甲子園)やプロといった将来のみを見据えた場合、中学の軟式野球部がその選択肢から消えかかっているという事実には心が痛む思いです。


ただ、野球はまだ良い方なのかもしれません。
サッカーは高校ですら「真の日本一」が曖昧です。ご存知の通り、Jリーグのユースチームがあり、冬の選手権よりも夏の全日本ユースの方が日本一決定戦のような気がしますし。部活動の位置付けがより難しいと言えるでしょう。

一方でサッカーは中学・高校のチームとクラブチームの試合がありますが、野球は軟式と硬式の違いがあり、互いの交流は無理です。
何と言うか、中学の野球に無理が生じ始めている感じもします。それでも中学の軟式野球で実績を重ねた指導者に高校野球から誘いが来る、という例がありますし、決して「軟式野球部=悪 硬式クラブチーム=善」ということではありません。


まぁ、原因としては社会というか、「大人の事情」がほとんどだと思います。これについては簡単に結論が出る問題ではありませんし、「永遠のテーマ」なのかもしれません。



ちょっと話はズレますが、中学時代、最後の夏の大会に負けた後に「ぜひ野球を続けて欲しい。本当の野球の楽しさは硬式にこそある。」という先生の言葉が今でも忘れられません。
その時に初めて「硬式野球」というものを強く意識しましたが、今の子供は相当早くからその意識があるようです。裏を返せば、早い時期から将来を見据えた「野球人生」を自ら組み立てているかのようです。

ワケの分からないマスコミが「野球人気の低下」などと囃し立てていますが、意識の高い子供たちが硬式のクラブチームに進む例が増えている現状を見れば、逆に日本の野球界はより地盤が安定し始めていると言えるのではないでしょうか。
部活の指導者という意味では安定していないのかもしれませんが…



硬式クラブチームの全盛に対する思いと、中学の軟式野球部の衰退に対する思いと――

何とも言えない、複雑な心境です。
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